『魔笛』来日記者会見(2007.5.14)























映画『魔笛』の7月公開に先立ち、去る5月14日、今回監督を務めたケネス・ブラナー氏を迎え、渋谷セルリアンタワー東急ホテルにて記者会見が行われました。

―と言うことで、公式には9年ぶり、Kenちゃん待望の来日でございますが、今回、配給元の東芝エンタテインメント様の許可を頂き、特別にこの会見に参加させて頂けることになり、急遽会場へ行ってまいりました。

会場は上記ホテルの一室を使い、12:30〜受付、13:00〜会見開始の予定で始まりましたが、マイクの調整に待つこと数分。
若干遅れ気味のスタートとなりましたが、司会者からの丁寧なプロフィール紹介を受け、写真右側のドアから登場。
「コンニチワ」と何と日本語の挨拶でスタート。

(この第一声で私はすっかり舞い上がってしまいましたので、ご覧の通りKenちゃん登場後の写真は全てブレブレ、ピントが合ってるのは登場前の会場の写真と鳥かごだけ、と言う有様でございますが、雰囲気だけでもお伝えできればと思いますので、ご笑覧下さいませ(^^; )

さて、その会場でございますが―
左一番上の写真がまだ準備をしているところですが、ポスターの前にあります花付きの椅子、(会場案内図にはソファーとありましたが・・・椅子ですね、これは(^^; )ここがKenちゃんのお席で、その左横・マイクの頭が見えている所が通訳さんのお席、更にその左に司会者さん、そしてKenちゃんの向かって右横には鳥かご、と言う配置のコンパクトな会場。(お陰でKenちゃんはすぐ目の前です♪)

その後コメントは、「此処に来られて本当に嬉しい。実は日本は大好きで、東京グローブ座の公演で初めて来日した時に、映画のプロモーションだとグラマラスな感じだけれども、その時は芝居と言う事もあり滞在期間中移動に普通の交通機関を利用して本当に日本と言う場所を知ることが出来た。その経験を大切に思っている。そして日本をとても好きになった。又来られてとても嬉しい。」と続き、司会者からの質問コーナーへ。

先ず“元々オペラに詳しかった訳ではないと聞いているが、オペラを映画化するに至った経緯を―”と訊かれ、「元々オペラの大ファンだった訳ではない。自分にとってオペラは距離があり、特別で、チケット代も高く、ストーリーも理解しにくく、時に演技も怪しいかなと言うイメージがあった。勿論僕個人の問題でありオペラの持つ問題ではないけれど。」と前置きし、「今回の作品は芸術パトロンであるピーター・ムーアから、オペラ界外から誰か扉を開いてくれないかということで、彼はこの大衆的に人気があり、世界でも一番興行回数の多いオペラを、あまりオペラに慣れていない人でも分かってくれるような作品に作ってくれる監督を求めていた。『魔笛』の中の魔法・ロマンス・アドベンチャー・情熱・軋轢等を描く事で現代の我々にも強く伝わるものがある映画が作れるだろうというビジョンを持ち、そういう映画を作る人を探していた。自分のようにオペラを怖いと思っている人にも、映画で見せることによってオペラを知ってもらいたいと思いこの話を受けた」と回答。

“作品の設定を第一次大戦時にしたことについて”は「『魔笛』はどんな設定もあてはまる世界観を持っており、スケールやリアリティ、アドベンチャー性等が作品とマッチするのではないかと思った。“得体の知れない勘”があった」

“今回の演出で大変だった事”については「自分はオペラが初めてであり、出演者達は映画が初めてと言うことで、互いに怖れの気持ちで一つになれた。作品をリアルで人間らしいスタイルにするためには、映画では歌にはないリアクションが必要。そうした事を大切に演技してもらった。互いに謙虚な姿勢で取り組めた。だからこそ誠実な映像作りが出来たと思う」
―と答え、次いで取材陣からの質問へ。

先ず“スティーブン・フライについて”は「互いに長く知っていて誠実な人。ロマンチストなのでエモーショナルな部分を引き出してくれると思った。どのオペラにも詳しく、『魔笛』のユーモアを引き出してくれると確信していた。ラブストーリーもより強く打ち出すことが出来ると思った」とこの人についてはオネストを連発。

“このところ俳優業よりも監督業に重きを置いているようだが?”という質問には「『魔笛』には3年半かかったが毎日モーツァルトを聞いて凄く楽しめた。そろそろ演技も、と考えており、今年か来年には舞台も予定している」と回答、

“演出家として、また俳優としての夫々の美点は何か?何処を目指しているのか?”との問には「『スルース』で一緒だったジュード・ロウやマイケル・ケインからは俳優としての洞察力を持ってくれていることがありがたいと言われた。俳優として他の監督の仕事振りを見ることも出来るし、監督として他の俳優を見ることも出来、それを次の仕事に役立てる事が出来る。互いに役に立つコンビネーションで両方出来る事は幸運」

“モーツァルトの曲の持つイメージやこのシーンに流れる曲が最高、というのはあるか?”との問には「モーツァルトと同じようにというのは不可能だが、映画の中ではモーツァルトのスピリッツを描いた。序章でシネマと音楽の融合が出来たのではないか。夜の女王のアリアでは、彼女の狂気をよりビビッドに、映像的に描けた。舞台ではなし得ないものが出来た」

また“最前線を舞台にしているがイラク戦争を意識して作ったのか”との問いには「フォークランド紛争を意識したのかと聞かれたこともあるが、こうした質問が出ること自体が、『魔笛』が200年経っても様々な解釈で描きたいと思わせる作品であることの証明であり、戦争・レボリューション・コンプレックスなど人間の持つ普遍的なところを描いており、愛が憎しみに、光が暗闇に、平和が戦争に打ち勝つと言う事が描かれている。シェイクスピアもモーツァルトも我々の住む世界を反映している」
―等と答え、これから映画を観る日本の観客には

「もし私のようにオペラを敬遠しているのであればリスクを背負って是非この作品を観ていただきたい。このオペラはウィーンのプレイハウスで初演されたオペラで、当時誰にでも観てもらえる人気のある出し物だった。それを現代の一番人気のあるとっつき易い映画という形で作った。女性の友人はオペラを知らないから見に行けないと言っていたがTVのレッドブルCMで流れていたパパゲーノを聞いたら“知っている”と言い、他にも知ってるよ、と歌ったら(―とここで夜の女王のアリアの一節を披露してくれましたが―)“知ってる知ってる”と言ってくれた。だからきっとみんな意識していなくてもモーツァルトの魔笛の曲を知っていると思うし、きっと何処か心に引っ掛かって気に入っていると思う。それを改めてみる機会でもあると思うので劇場に観に来てもらえればと思う。その友人は映画を観てヘビーでシリアスな作品かと思っていたが、あんなに笑って泣くとは思わなかった。パミーナとタミーノがまるで大人になっていく様を見た様な気がしたと言ってくれた。日本の観客もそんな風に観てくれればと思う」とメッセージを送り、「一つ付け加えたい」として
「今日は僕の話を聞くためにここまで足を運んで下さってありがとうございます」と締めくくり、最後に日本語で「アリガトウゴザイマス」と笑顔でマイクを置いて撮影タイムに。

会場の呼びかけに応えたり鳥かごを持ったりとサービスしたあと、もう一度日本語で「アリガトウゴザイマス」と会場を後にしました。

ブルーの瞳と、穏やか〜な声と笑顔が印象的な会見でございました。

また、会場で頂いたチラシによりますと、6/27には映画「魔笛」オリジナル・サウンドトラックが発売されるそうで、19曲の収録曲の他にケネス・ブラナー氏によるナレーションも入るようでございます。


今回会見参加に当たりお世話になりました東芝エンタテインメント宣伝部の皆様に心よりお礼申し上げます。       (2007.5.17)







―と言う訳で、より綺麗な画像とプロの記事を堪能したい方はこちらにリンクを張っておきますのでどうぞ〜。

シネマトゥデイ “本物のオペラが映画館で観られるの? 監督が自信満々でアピール”
CINEMA TOPICS ONLINE “映画とオペラの最高に贅沢で幸せな出逢い 映画『魔笛』ケネス・ブラナー監督来日記者会見”(動画有)
スポーツ報知 “ブラナー監督、3年半かけ傑作オペラ「魔笛」を映画化”
Cinema Cafe.net “「映画と音楽の結婚が成された」ケネス・ブラナーがオペラ「魔笛」を映画化”
eiga.com “モーツァルトの「魔笛」を映画化したケネス・ブラナー監督来日”
JANJAN “オペラ「魔笛」を映画化〜ケネス・ブラナー監督会見”(ほぼ全会見の動画有)
シネトレ “モーツァルト最後のオペラを完全映画化!!『魔笛』ケネス・ブラナー監督来日記者会見”
Movie Walker “モーツァルトの傑作オペラ「魔笛」が、新解釈で映画化!”(動画4分8秒
FASHIONSITE.JP “モーツァルトの傑作オペラ『魔笛』を映画化したケネス・ブラナー監督が、来日会見に登壇!”

Getty Images "The Magic Flute" In Tokyoで検索して下さい。
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